Posted by ogasawara | Posted in 所長のつぶやき, 特許法 | Posted on 12-11-2014
昨日の知的財産権の授業にこの2つの本が役に立ちました。

今回の授業のテーマは、「特許を受けることができる者」。職務発明の「相当の対価」が話題となった10年位前の中村裁判をメインに話しました。
それを踏まえて、「相当の対価」に関連してどのように特許法が改正されたか、そして今の改正議論という流れ。
「相当の対価」が争われた所謂404特許。「量産においては必要とされない技術」であるとして和解後に権利放棄されたことはあまり知られていませんね。
http://ja.wikipedia.org/wiki/404%E7%89%B9%E8%A8%B1
中村修二氏がノーベル物理学賞を受賞されたためか、珍しく学生も興味津々といった感じ。でも、この事実はちょっとショックだったようです。
404特許の内容はこちら。
http://ogasa-pat.com/home/image/JPB_0002628404.pdf
Posted by ogasawara | Posted in テクノロジー, 所長のつぶやき, 特許法 | Posted on 05-03-2014
現在大きな盛り上がりを見せている3Dプリンタ(3Dプリント?)の話題です。
下記のサイトの記事を見かけました。現在の市場の盛り上がりが、基本特許の権利期間満了によってもたらされており、2014年2月 (先月ですね)に現在最も先進的かつ機能的な3Dプリント技術「レーザー焼結法」に関する特許の期限が切れることにより、2014 年は、3Dプリンタが爆発的に成長する年になると予言されています。
http://qz.com/106483/3d-printing-will-explode-in-2014-thanks-to-the-expiration-of-key-patents/
勿論、特許は1つだけで成立しているわけではなく、周辺特許と呼ばれるポートフォリオを組んで戦略的に権利形成されています。したがいまして、前述の基本特許1つが満了になるからといって、爆発的に3Dプリンタが成長するとは言い切れません。しかしながら、2009年に「FDM(Fused Deposition Modeling)法」に関する基本特許の存続期間が満了してから低価格な3Dプリンタの市場が拡大した前例がありますので、この時期を待って虎視眈々と準備していたスタートアップ企業がいるのでは?と思ったりしています。
特許事務所をもっと身近に感じてもらいたいとの想いから、これまで、弊所キャラクターを発案し、そのキャラクターの3Dプリントを試したわけですが、今回、3Dプリントを試して分かったことは、3Dプリンタの普及の鍵を握っているのは3Dデータの作成技術であるということです。手探りで色々なサイトを見ながら進めていったわけですが、手軽に3Dデータを作れるツールと謳われていても、初心者が簡単にできるほど整備されているとは正直思いませんでした(ごめんなさい)。
3Dデータの作成技術までも含めた3Dプリント技術、まだまだ目が離せませんね。このブログの中でも、「~3Dプリントに挑戦~」と題して、初心者が簡単にできるという視点で、3Dプリント作成方法について記事にして行くつもりです(所員Tが頑張ります)。
こうご期待!
Posted by ogasawara | Posted in 特許法 | Posted on 18-10-2013
アマゾンのワンクリック特許をはじめ、様々な特許が成立するたびに大きな話題となったビジネスモデル特許。ビジネスモデルそのものでの特許が認められるようになったと誤解される方もおられますが、ビジネスモデルそのものは特許法の保護対象ではありません。特許法が保護対象とする発明は「自然法則を利用した技術的思想の創作」と定義されています(特許法第2条)。発明は、ざっくり言いますと技術的アイデアなのです。
しかし、インターネットが普及した高度なネットワーク社会では、ビジネスモデルを支えるネットワークやコンピュータ等の技術的仕組みの視点から特許を取得することが可能です。これを「ビジネスモデル特許」と呼んでいるわけです。
このビジネスモデル特許、米国でのブームが日本にも飛び火した2000年頃に比べると、最近の出願件数は低いところで推移しているようです。
http://www.jpo.go.jp/tetuzuki/t_tokkyo/bijinesu/biz_pat.htm
原因は色々と言われています。特許率が、全分野の平均値(約60%)と比較して、極めて低かったことがあげられています。2003年から2006年の特許率は約8%であったとのこと。発明が技術的アイデアであることが正確に理解されないまま、経営・市場関係者からは、ビジネスモデルそのものでの特許が認められるといった誤解があった結果、そもそも発明としての成立性が低かったと考えられます。
また、当時の知財関係者の間では、「ビジネスモデル」という言葉そのものに拒絶反応が大きく、新しい技術を扱っていながら伝統的に職人気質の強い知財業界で、儲けることや利益を上げることを潔しとしない風潮があったかも知れません。
このようなことから「ビジネスモデル特許」は否定的に扱われ、米国での特許保護対象の見直し論とも連動した結果、新規性・進歩性の基準を引き上げて特許が成立しにくい土壌が形成されていったとの分析もあります(松倉秀実著「黒船特許の正体」)。
ビジネスモデルは特許では守れないと見切りをつけ、ビジネスモデルの創出そのものを自ら放棄してしまった感のある日本の企業。特許率は、出願件数が少なくなったことも影響しているでしょうが、2007年以降は上昇傾向にあり、2011年には暫定値で約37%まで上昇しています。
世界的なビジネスモデルが日本では創出されにくくなってしまったという問題意識と最近の特許率の上昇傾向とは無関係ではなく、新規性・進歩性の基準について、特許率を上昇させる揺り戻しのようなこと(新規性・進歩性の基準の引き下げ)が起きているのでは?という気がします。
ビジネス関連発明の特許率が低調ながらも上昇している昨今、貴社のビジネスを今一度見直されてみてはいかがでしょうか。ビジネスモデル特許として権利保護できるかもしれませんよ!
Posted by ogasawara | Posted in 特許法, 訴訟 | Posted on 27-09-2013
『米アップルの携帯音楽プレーヤー「iPod」に日本特許を侵害されたとして、日本の発明者齊藤憲彦さんがアップルの日本法人に100億円の損害賠償を求めて提訴していた訴訟で、東京地裁は9月26日、特許侵害を認め、アップルに約3億3千万円の支払いを命ずる判決を下した。』との記事が下記のサイトに掲載されておりました。
http://news.braina.com/2013/0926/judge_20130926_001____.html
特許公報を調べてみますと、訂正審判が請求されておりまして、審決公報の最後の2ページに発明の内容が記載されています。下記をクリックすると、審決公報がご覧になれます。アップル側からは無効審判が請求されていましたが、取り下げられたようです。
http://ogasa-pat.com/home/image/teisei.pdf
それにしても、3億3千万円ですか~!これからの上級審でどうなっていくかは分かりませんが、夢がありますよね。平成10年に出願されているので、特許権は後5年間存続可能です。順調にいけば、今後のロイヤリティ分だけでも凄いことになりそうです※。私も、特許になるようなUIを考えようかなぁ。
今回のケースは、個人発明家が自分の頭で特許を生み出している点でパテント・トロールとは異なります。パテント・トロールとは、自分で発明せずに第三者から特許を買い取り、組織的に特許裁判を起こすような人たちのことをいいます。訴えられる企業からすると、どちらもやっかいな者なのでしょうが…。パテント・トロールについては下記のサイトが参考になります。
http://wedge.ismedia.jp/articles/-/3105?page=1
※UIは流行に左右されやすいと思われますので、今後、特許が使われないことも考えられます。
Posted by ogasawara | Posted in 告知, 条約, 特許法 | Posted on 19-09-2013
新手の振り込め詐欺かも!
クライアントさん(個人情報は削除済み)のところに直接届いた請求書です。
おそらく免責のため、下の方に小さく支払う義務はないって書いてあります。
PCT出願(特許の国際出願)の国際公開後に届いたようです。
この手の詐欺がネット上でいくつか報告されていました。
ほとんどの人は関係ないと思いますが、念のため。

Posted by ogasawara | Posted in 特許法 | Posted on 17-05-2013
先日の研修で、米国特許法改正について勉強してきました。忘れないように、少しずつまとめていこうと思います。
【米国特許法改正について】
2013年3月16日から、米国特許法も先発明主義から先願主義へと移行しました。その移行に合わせて様々なルール改正が行われました。今日は、その中の有効出願日についてご説明します。
【有効出願日とは】
改正法では「有効出願日(effective filing date)」が新しく定義されました。この有効出願日は、改正法における様々な規定で基準日として用いられます。日本の特許法でいう「優先日」の概念と同じと理解してもいいと思います。あくまで判断の基準日であって、必ずしもイコール出願日ではないことにご留意ください。
102 条(新規性)及び 103 条(非自明性:日本でいう進歩性)は、従来法では、発明日を基準に判断されていましたが、改正法では、有効出願日を基準として判断されます(35 U.S.C 100 条、102 条(d))。
改正法100条(i)(1)によれば、優先権主張出願,継続出願※,分割出願のいずれか最も早い出願日が有効出願日となり、それ以外の場合は実際の出願日が有効出願日となります。例えば、日本での出願を基礎として米国に優先権主張出願を行った場合、有効出願日は日本での出願日となるというわけです。
この有効出願日は請求項ごとに判断されますので、1つの出願の中で請求項によって有効出願日が異なるということもあります。
【注意点】
「有効出願日」が2013年3月16日よりも前であるかそれ以降であるかによって出願に適用される法律が異なります。
したがって、2013年3月16日よりも前の日本の出願に基づく優先権を主張して2013年3月16日以降に米国出願をする場合、米国出願の請求項と基礎出願との関係で適用される法律(従来法であるのか、改正法であるのか)が変わるということに注意が必要です。
※ 継続出願とは、先の出願が最終拒絶された場合に再度審査官に出願内容の審査をさせるためにする出願をいいます。
Posted by ogasawara | Posted in テクノロジー, 実用新案法, 特許法 | Posted on 03-04-2013

今日着用のネクタイです。先日、話のネタに購入してきました。
センスはともかく、着脱方法が私にとっては斬新でしたので。
上から2枚がネクタイの裏側、一番下がネクタイの表側。
裏側の掛け部がジッパーになっていて、
結び目が下に下ろすと、ジッパーが開き、首に巻くループ部分が伸びて、首から外せ、
裏側の掛け部を下に引っ張ると、ジッパーが閉じ、ループ部分が縮んで、首に巻き付け可能になっています。
これは特許か意匠登録がされているだろうと調べてみると、
随分昔の昭和60年に実用新案登録出願されていました。新しくないと知って、ちょっとショック(>_<)
http://ogasa-pat.com/home/image/JPU_1986206618.pdf
ネクタイを結ぶことが苦手な人や、結び方を知らない人向けにはよいかも。
ユニクロあたりが若者向けに販売したら流行りそうな気が…。
Posted by ogasawara | Posted in 商標法, 意匠法, 特許法 | Posted on 26-12-2012
Posted by ogasawara | Posted in おがさわらブログ, 特許法, 知財戦略 | Posted on 14-07-2012
午前中は特許出願の拒絶査定不服審判の中間処理のお仕事。
午後から、ある大学で9月から始まるビジネスモデル特許の授業に備えて、例のごとく娘の送り迎えを利用してこんな本を読んでいます。

ざっくり、アップル・アマゾン・グーグルのビジネス戦略を各社の特許を分析することで読み解いていくという内容。
今年の4月にアマゾンのワンクリック特許が成立しましたが、この話題についても触れられていました。ただ、この本の執筆時に公報の発行が間に合わなかったようで、詳しくは分析されていませんでした。
折を見て、アマゾンのワンクリック特許については自分でも公報をダウンロードして分析してみたいと思っています。