最近の判例から考える商標登録の戦略(3条1項3号編)

Posted by ogasawara | Posted in 商標法, 訴訟 | Posted on 25-04-2013

商標登録ステーションでよくご相談を受けるのが、商品「ぶどうパン」に商標「ぶどう」と名付けるような、商品の産地や販売地,原材料、用途,品質等のいわゆる記述的商標について商標登録が可能ですか?といった類です。商標というのは、ざっくり言いますと、自分のところの商品又はサービス(以下、商品等といいます。)を他人のところの商品等と識別するための識別標識です。したがいまして、指定商品:「ぶどうパン」、商標:「ぶどう」は、商品「ぶどうパン」の原材料や品質を表すものですので、もし商標:「ぶどう」が、「普通に用いられる方法」(標準文字)で表示するものである場合には、商標法の3条1項3号の規定に該当し、商標登録を受けられないことになっています。ちなみに、識別標識として機能する商標とは、例えば、「シキシマパン」や「ヤマザキパン」を思い浮かべてみて下さい。出所を表示するものであるかどうかがポイントです。

では、このような記述的商標がすべて登録されないかというとそうではありません。例えば、人気アイスの井村屋「あずきバー」。特許庁は、指定商品:「あずきを加味してなる菓子」、普通に用いられる方法で表示する商標:「あずきバー」は、商品の原材料である「あずき」と、品質である「バー」を普通に使用している商標ですから、いわゆる記述的商標に該当すると判断し、商標登録を認めませんでした(商標法3条1項3号)。これに対して、その上級審の「あずきバー」審決取消訴訟(平成25年1月24日判決)では、特許庁の商標登録を認めなかった審決の取消を命じる判決が出されています。

ポイントとなったのは商標法3条2項の規定。出願人の商品を表す商標として需要者の間で全国的に広く認識されていれば、識別標識として機能するので、商標登録を受けることができます。井村屋の「あずきバー」は年間3億本に近い販売実績があるため、指定商品「あずきを加味してなる菓子」に限っては商標登録を認めてよいのではないか、という結論に落ち着いています。

一方、「HOKOTA BAUM」審決取消訴訟(平成24年10月3日判決)においては、特許庁が、指定商品:「鉾田市産のバームクーヘン」、商標「HOKOTA BAUM」は、商標法3条1項3号に該当するとして商標登録を認めなかった審決を維持する判決が出されています。文字が若干デザイン化されている程度では、「普通に用いられる方法」の域を出ないこと、必ずしも商品が商標の表示する土地において現実に生産され又は販売されていることを要しないと解されました。なお、商標法3条2項の規定の適用については争われていません。

正反対の結果に至った判例をご紹介しましたが、「あずきバー」も「HOKOTA BAUM」も図案化された文字については、商標登録がされています(図を参照のこと。)。図案化した場合には、「普通に用いられる方法」ではないので、商標法3条1項3号に該当せずに商標登録が受けられます。図案化に限らず特殊文字を用いてもよいです。

これらの判例から、いわゆる記述的商標について「普通に用いられる方法」(標準文字)で商標登録を受けたいと望む場合には、先ずは、図案化して商標登録しておき、その登録商標を使用して全国的に広く認識されるように事業展開をし、識別標識として機能するようになったら、「普通に用いられる方法」の商標についても商標登録出願をして権利化する、という戦略が考えられます。実際には、全国規模の事業展開を要し、資本力がある者の戦略かもしれませんが、いわゆる記述的商標について商標登録が可能ですか?という問いの回答としてご参考になれば幸いです。

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