国際特許??

Posted by ogasawara | Posted in 商標法, 条約, 特許法 | Posted on 21-03-2012

「国際特許 パナソニック2位転落 中国企業首位、インド企業の申請も目立つ」というニュースについて。

ネタ元は下記のサイトです。
http://sankei.jp.msn.com/economy/news/120305/fnc12030523480009-n1.htm

中国やインドなど新興国企業の躍進が目立つという記事内容ですが、職業柄、「国際特許」の用語が気になりました。「国際特許」というと、一見、世界中で通用しそうな特許制度に関する名称だと思われるかもしれませんが、今のところ世の中にはこうした特許制度は存在しません。「世界特許」という用語もこの類だと思われます。もし、単一の手続によって取得可能、かつ、多数の国で有効な特許という仮想的な概念として使用しているのだとしたら、正しくは国際出願件数のことですね。ちなみに、「世界特許」は、現在、「世界中で通用する統一的な特許制度を構築したらどうか」と議論されておりますので、今後、メジャーな用語になるかも知れません。記事の揚げ足をとるつもりはなかったのですが、紛らわしいので整理しておきますね。

国際出願:特許協力条約(PCT)に基づく特許出願のこと(国内-->国外)。単一の手続で多数の加盟国に出願した効果を得られる制度であって、その後の特許取得のための手続きは各国別に行う必要がある。

国際特許出願:国際出願のうち、日本国を指定国に含めたことで我が国の特許出願とみなされた特許出願のこと(海外-->日本)。要するにPCT制度を利用した国内特許出願。

国際登録:標章の国際登録に関するマドリッド協定の議定書2条(1)で規定する国際登録のこと。ちなみに、マドリッド協定議定書は、商標について、世界知的所有権機関(WIPO)国際事務局が管理する国際登録簿に国際登録を受けることにより、指定締約国においてその保護を確保できることを内容とする条約です。

国際登録出願:日本国民等が我が国にした商標登録出願等を基礎として国際登録を受けようとする場合に我が国の特許庁長官に対して行うその意思表示たる手続のこと(日本-->海外)。

国際商標登録出願:マドリッド協定議定書3条(4)に規定する国際登録の日又は事後指定の日にされた商標登録出願とみなされた日本国を指定する領域指定のこと(海外-->日本)。

国際出願件数については、下記のサイトでご覧戴けます。
http://memorva.jp/ranking/world/wipo_patent_pct_applicant_2011.php

外国へ特許出願する方法は、国際出願に限られず、日本へ特許出願後、明細書翻訳文を用意し、1年以内にパリ条約の優先権主張を伴う出願(パリルート)をすることもできます。例えば3ヶ国であれば、費用的にはパリルートの方が安くなる場合が多いようです。ですので、国際出願件数の評価だけで、日本の技術力を云々語るのはやや短絡的かも知れません。海外に特許出願や商標出願する場合の手続の説明についてはまた別の機会に掲載する予定でおります。

見慣れない用語もあるかと思われます。「商標登録ステーション」のサイトに用語集のページを作成していますので宜しければご覧ください。
http://trademark.ogasa-pat.com/vocabulary/

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