【名奉行金さん×遠山の金さん 商標類否事件から見る商標登録の重要性】
今回は、商標登録の重要性を改めて認識する判例をご紹介します。
【事件の概要】
本件登録商標「名奉行金さん」(標準文字)(指定商品・役務:第28類 遊戯用器具)が引用登録商標「遠山の金さん」(標準文字)(指定商品・役務:第28類 遊戯用器具ほか)に無効審判により無効とされたので、当該審決の取消しが求められた事案です。
【判決の要旨】
商標の称呼及び外観は非類似とされましたが、歴史上の人物である「遠山金四郎」、時代劇等で演じられる「名奉行として知られている遠山金四郎」の観念において類似するので、商品の出所について混同を生じるおそれがあるとして、類似の商標であると判断されました。
争点は、1.商標の類否にありました。
1. 商標の類否について
称呼
本件登録商標・・・「メイブギョウキンサン」
引用登録商標・・・「トオヤマノキンサン」
両商標とも、一連に表記されているため上記となり、相違する。
外観
両商標とも、一連に表記されているため相違する。
観念
両商標とも、歴史上の人物である「遠山金四郎」、時代劇等で演じられる「名奉行として知られている遠山金四郎」の観念を生じさせるため、同一又は類似である。
本件登録商標・・・「メイブギョウキンサン」
引用登録商標・・・「トオヤマノキンサン」
両商標とも、一連に表記されているため上記となり、相違する。
外観
両商標とも、一連に表記されているため相違する。
観念
両商標とも、歴史上の人物である「遠山金四郎」、時代劇等で演じられる「名奉行として知られている遠山金四郎」の観念を生じさせるため、同一又は類似である。
※観念が、称呼・外観の相違を凌駕するものである。
【私見】
今回の判決は、観念の相違を重視したものとなります。また、本件被告(東映株式会社)は、映画・TVでおなじみの「遠山の金さん」シリーズの著作権者であり、本件原告が製造しているパチンコ機が著作権を侵害しているとして、仮処分の申立てもしていました。
商品やサービスの識別標識としての商標が著作権で保護されるか、というと保護されません。今回、東映株式会社さんが商標登録をしておいたのは賢明でしたね。著作権に加えて商標権により商標を強力に保護することができますからね。
昨今のゆるキャラブームで、数々のキャラクターが誕生していますが、関係者の方はきちんと保護していますか?
こちらのサイトはご参考まで。