昨日、「中国での商標問題の現状と対策」というJETROの方の講演を拝聴してまいりました。どのトピックスも傾聴すべきお話しでした。中でも、抜け駆け商標登録問題についてのお話しが興味深かったです。
現状はひどいものです。例えば、47都道府県のうち27の名称、政令指定都市では3つの名称で、ほぼ同一の商標出願が確認されたとのこと。事務所に戻ってから「愛媛」の名称で調べてみますと、流石に愛媛県は「飲料」や「柑橘類」では商標権を取得しているようですが、中国人が申請者と思われる登録商標が写真以外にもまぁ多く見つかりました(写真は講演で紹介されていたものです。)。「青森」については登録を取り消すために250万円の費用がかかったそうです。
これは本当に由々しき問題で、悪気がなくても侵害者になり得るということは皆様ご存じのとおりです。
抜け駆け登録問題の原因は、下記の3つに大別されます。
1.現地代理店が、委託元の企業名や商品名を登録する。
(代理店を変える場合に、自社の商標が使えなくなってしまう。)
2.ライバル企業(模倣業者も含む)が、日本企業との関係を連想させるために先に登録してしまう。
3.商標ブローカーが、日本企業に高値で買い取りを迫るために登録する。
(買い取り価格が数千万円に及ぶこともあります。)
抜け駆け登録されないための対策ですが、やはり、
0.自社商標を一刻も早く外国に出願登録する。
というのが、最大の予防策です。
では、抜け駆け登録されてしまった場合ですが、以下の対応策が挙げられます。
1.相手の先願登録を無効化する(相手の不正目的・悪意を証明する必要有り。)。
2.登録後3年間使用実績がなければ、不使用取消請求をする。
3.商標権の使用許諾或いは買い取りの交渉をする。
4.別ブランドでのビジネスを検討する。
0.以外の手法は費用や時間が掛かるので、一刻も早い出願をお勧めします。