今年のノーベル化学賞はイスラエル工科大のダニエル・シェヒトマン特別教授が受賞しました。彼の研究テーマは、ピンとくる人が少なそうな「準結晶」というもの。私はといえば、昔の話ですが結晶材料工学を専攻しておりまして、同室の席で学位論文等について懇切丁寧に私をご指導戴いた先生が「準結晶」の研究をされていましたので、「準結晶」がノーベル化学賞の研究テーマになったと聞いて真っ先にその先生のことを思い出しました。
ネットで調べますと、その先生は北大に移られて、シェヒトマン氏の正しさを決定づける研究をされていたことや現在「準結晶」の第一人者と呼ばれていてることに凄いという思いと同時にやっぱりなと思いました(下記のURLでその先生のご活躍は御覧いただけます。)。
http://www.eng.hokudai.ac.jp/labo/crystal/research/kinzoku.php
シェヒトマン氏の論文は、最初、化学学会から馬鹿にされ二年間も受理されなかったそうです。ノーベル賞を二度受賞した天才ポーリングは彼の論文を「子供でもしない初歩的なミス」で馬鹿げたものだと一笑に付し他の科学者もこぞってこの論文を批判しました。しかし、シェヒトマン氏はこの批判にも一切揺るがなかったそうです。
研究者に限られるのかも知れませんが、一部の天才を除いて第一人者と呼ばれる人は、飽くなき探求心があって権威とか先入観や常識にとらわれない点で共通している気がします。ご指導戴いた先生もそういえばそうだったことを思い出しました。今回のシェヒトマン氏の受賞やご指導戴いた先生から、教科書に書いてあること,先生が言うこと,どんな権威のある人が言うことでも疑って自分で考えることを捨ててはいけないこと,「自分で考える」大切さを改めて実感した次第です。
ただ、経験上、研究者の中には間違った方向に頑固で固執する人もいるのも事実だと思いますので、実社会では素直に人の意見を聞くことも重要で、やはり何事もバランスなのかな(^_^)v